蒼空_memo

「そろそろ休憩したらどうだ」
「え、あ…解りました紅茶淹れます」

そう言って立ち上がり、いつものように紅茶を淹れる。湯を沸かしてポットとカップを温め、茶葉を煮出していく。お湯を何度も沸かすのがとてつもなく面倒なのだが、イギリス人の彼に美味いと言わせる紅茶を淹れるためなら頑張るしかないだろう。別に現代のイギリス人もティーバックを使ってると本人に言われようとも、だ。
ポットと二人分のカップを持って戻ってくれば、何やら高そうな紙箱が置いてあった。

「…お菓子ですか？」
「貰ったんだがな、一人では食べきれんだろう」
「良いんですか？ありがとうございます」

貰えるものは貰っておく。疲れているときの甘いものは結構好きだ。崩れ切った顔で笑えば、彼も笑ってくれた気がした。
多分、これを出したかったから休憩を切り出したんだろうなあと、思っても口には出さなかった。

「美味しいですね」
「そうか、なら良かった」

貰ったなんて言うけれど、多分買ってきてくれたのでしょう？お茶菓子を選ぶのが意外と面倒で大変だと、以前零したから。
今度は一緒に買いに行きたいと思って、さてどうやってデートの話を切り出そうと思案した。